「アカスリ半田劇場」 連載第5回
「アカスリ半田劇場」スポーツニッポン(朝刊) 2013年10月23日
「オペラや京劇に不惑からチャレンジ」
毎年主演でフルのオペラ舞台に
同時に中国国家二級京劇俳優に認定
能楽師や歌手として芸術活動を続けてきた半田氏は、40歳で大きな決断をした。オペラへの挑戦である。
「まず西洋芸術の最高峰であるオペラに挑戦し、それから中国の伝統芸術である京劇を学ぼうと思った。それぞれの最高峰のものを私が行うことで、インターナショナルな人間として共感してもらえるのです」、と振り返る。
「能や茶道はアマチュアでも努力すればできるが、オペラや歌舞伎は素人が何年やってもできない」。そこで、本格的に声楽を志し、武蔵野音大を受験。見事に合格する。
46歳になった97年に同大特修科(マスタークラス)声楽専攻を卒業すると、翌年には西オーストラリア州立エディスコーエン大学芸術学部大学院に入学し、修士号を取得する。このように、持ち前のバイタリティーと探求心で、声楽を極めていった。
97年にオペラ「俊寛」の康頼役で本格デビューすると、主演として毎年フルのオペラ舞台に立った。ベルディーのバリトン主演の三大難曲、「リゴレット」「ナブッコ」「ファルスタッフ」。モーツァルトのバリトン主演の二大難曲、「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」。また、ドニゼッティーのバスの難曲、「ドン・パスクワーレ」も見事にやり遂げた。
また「25歳から禅や中国哲学を勉強してきた。中国古典を中国人に教えるくらいになった」と、中国の文化や芸術に傾倒したのだ。それで、能やオペラと並行して、48歳から中国京劇界の泰斗・王金ろ(おうきんろ)氏らに師事。99年に「西遊記」、00年の「古城の再会」と02年の「漢津口」で関羽役を演じるなど、国際舞台でも高い評価を得ている。その実力はプロとして認められ、02年には中国国家二級京劇俳優に認定された。不惑からの挑戦が、実を結んだ瞬間だった。
半田 晴久(はんだ・はるひさ)1951年(昭26)3月18日、兵庫県西宮市生まれ。県立鳴尾高、同志社大経済学部、武蔵野音大特修科卒。その後、豪州でMA、中国の清華大、浙江大でPh.Dの学位を取得。ゴルフやボウリングなど多くのスポーツ大会に協賛する「ISPS」会長。オペラ歌手、画家、書家、能楽師などとしてマルチな才能を発揮。「強運」(たちばな出版)など著書は270冊を超える。